開催レポート

AnimeJapan 2014報告書

 日本のアニメ産業、関連産業の発展と振興を目的とした世界最大級のアニメイベント『AnimeJapan 2014』が、2014年3月22日(土)、23日(日)の2日間にわたって、東京ビッグサイトにて開催された。本イベントは国内外のアニメファン、ライセンシー、バイヤーに向けて、様々な施策を展開した。本項では主催者企画についての報告をおこなう。
 主催者企画は、「アニメを知る」「アニメに参加する」という大きな2つのテーマと物販で構成された。

アニメを知る

 会場に設置されたオープンシアターでは、アニメ雑誌「Newtype」とコラボレーションしたアニメ半世紀シアターが開催された。
 大型スクリーンでは、各年代の「エポックメイキングとなった作品」から人気度の高い話数や強いインパクトを残した話数が上映された。上映作品は、TVアニメの原点である『鉄腕アトム』から、『ガールズ&パンツァー』のような近年の話題作まで多岐にわたった。各回ともに満席という状態で、『魔法少女まどか☆マギカ』など上映後に拍手が沸き上がる作品も多かった。
 また展示スペースには、アニメの放送開始から現在までの歴史を概観できる巨大パネルを設置。各年代のTVアニメの位置づけや放映本数、代表する作品の影響力などが仔細に解説されていた。
 一連の企画を通じ、TVアニメが築いてきた歴史を知ることで、TVアニメに対する愛着と尊敬の念がいっそう強まったのではないだろうか。

 また、会場内には大人も子どもも一緒に、家族でアニメに触れることができる「ファミリーパーク」が設置された。
 ふれあいステージでは、『ドラえもん』や『ケロロ軍曹』など大人にも子どもにも人気の高いキャラクターの着ぐるみが順番に登場した。各回ともに、記念撮影や握手を求める多くの家族連れが参加したほか、大人のアニメファンやカップルなども参加していた。
 記念撮影コーナーでは、『クレヨンしんちゃん』や『あらいぐまラスカル』などのぬいぐるみが展示され、家族連れに限らず、作品のファンが記念撮影をすることも多かった。
 ワークショップでは、アニメの手作り体験を実施した。参加者にはキャラクターの絵が両面に描かれ、左右にゴムバンドがついたコースターを配布。ゴムのねじれを利用して回転させることでキャラクターが動いているように見え、アニメの仕組みがわかるという企画である。思い思いに着色して遊んでいる子どもたちが多く、アニメを「より身近なもの」として感じてもらう絶好の企画となった。

 アニメ業界に興味がある、働きたいという方のためには、「アニメの仕事相談窓口」が用意された。アニメ制作会社や映像メーカーなど関連企業の担当者に直接話しを聞くことができるということで、各回ともに行列ができるほどの盛況ぶりだった。
 参加者は、アニメ業界への就職を視野に入れた学生と転職を考えている社会人の割合が多く、質問内容は「どのような人材が求められているのか」、「給与体系はどのような仕組みなのか」というものが多かった。また、プロデューサーやメーカーの宣伝マンなど、参加者が目指している職種についての具体的な質問も多く寄せられた。
「アニメの仕事相談窓口」は、業界の方とアニメ業界を目指す方がより近い位置で接することができたため、ビジネス関係企画の中でもアニメ業界とアニメ業界を目指す方の直接的な橋渡しの役割を果たすことができたのではないだろうか。

上へ戻る

アニメに参加する

 来場者参加企画として大きな目玉となった「コスプレイヤーズワールド」は、屋外の撮影エリアだけでなく屋内にも撮影エリアが設置された。屋内の撮影エリアでは『艦これ』や『進撃の巨人』、『魔法少女まどか☆マギカ』などの作品と連動し、作品世界をモチーフにしたセットや背景パネルを提供。各作品のコスプレイヤーたちが集まっただけでなく、作品ファンの記念撮影スポットとしても大盛況だった。
 屋外エリアでは、人気のアニメ作品のほかゲームや漫画のコスプレイヤーが多数参加し、多くのカメラマンが集まった。外国人のコスプレイヤー、カメラマンも多く、アニメを通じた国際交流が活発におこなわれていた。
 またコスプレ初心者のために、ACOSとCOSPAの協力のもと、1時間1,000円という料金で人気作品の衣装レンタルも実施した。初めてコスプレをするというファンも見受けられ、コスプレ文化の浸透、発展に寄与できたのではないだろうか。

 また、来場者が無料で参加できるオリジナルの「謎解きゲーム」も開催された。「怪盗Xによって、会場から奪われたアニメの色を取り戻す」という内容のもと、4つのミッションが用意され、クリアするごとに新たなミッションへの挑戦が可能となる。
 人気の「謎解きゲーム」を初心者やファミリーでも簡単に体験できるということで、ミッションが書かれた用紙を持った来場者が会場内をまわっていた。ミッション1の問題は各企業のブース近くに設置され、各ブースへ足を運んでもらうという役割も果たしたといえる。
 課題点としては、「ファミリーコース」や「ボーイズコース」、「ガールズコース」というコースによって、難易度がバラついてしまったことが挙げられる。また、問題パネルが各ブースのイベント参加者によって隠れてしまい、見づらくなるという事態も少なからずあった。各ブースとのより強い連動が必要と思われる。

上へ戻る

物販

  東日本大震災及び世界各国の災害被災地の復興、支援を目的とした「チャリティオークション」は、落札金が義捐金として支援団体へ支払われる。出品物の落札金額の合計は約1400万円ほどに上った。
 出品物は、人気作品やアニメ関連団体から提供を受けた計63品。アニメスタッフやキャスト陣によるサイン入りアフレコ台本や番宣ポスター、イラスト色紙などのほか、作中に登場する衣装や装置のレプリカも多数出品された。
 オークションには参加しなかったものの、貴重な展示物として観覧するファンも多く、展示スペースには常に人だかりができていた。「チャリティーオークション」としての貢献ができた上、エンターテイメント性もあるスペースとして十分に役割を果たすことができたのではないだろうか。
「オフィシャルショップ」では、「AnimeJapan 2014」の会場でしか手に入らない限定グッズが販売された。『けいおん!』や『ハイキュー!』などのグッズのほか、『進撃の巨人』と『<物語>シリーズ』のラバーストラップセットなど、「AnimeJapan 2014」だからこそできる作品と作品のコラボレーショングッズも多数取り揃えた。終始、好況を博した。

 日本のアニメは、日本のみならず世界でも高い評価を受け、日本を代表する文化となるまでにいたった。「AnimeJapan 2014」は、アニメそのものの面白さに加え、ビジネスとしてのアニメ、コミュニケーションとしてのアニメ、教育としてのアニメの可能性を追求し、提案したイベントである。多くのアニメファン、ライセンシー、バイヤーの理解と協力に支えられ、その目的の多くは達成された。もちろん改善できる点も多々あるが、今後「AnimeJapan」が開催される際も、アニメの可能性と価値をアニメファンやアニメ業界の次世代を担う者に伝えていくことを強く希望する。

上へ戻る

原稿執筆:岩倉 大輔