AJ全体リポート
2014年3月22日(土)・23日(日)の両日、東京ビッグサイトで世界最大級のアニメイベント『AnimeJapan』が開催された。22日は来場者数59,630人、23日は51,622人となり、予定された10万人を大幅に上回る来場者を記録した。昨年同時期に2つのアニメ系イベントが開かれているが、東京国際アニメフェア(TAF)2013が4日間で10万5170人、アニメコンテンツエキスポ(ACE)2013が2日間で7万159人だったことを考えると、想像以上に多くの人の関心を集めた結果といえる。
アニメの楽しさを体感する
「楽しさを体感するイベント」として核になったのはRED・BLUE・GREENの3つのステージ(まとめてRGBステージと呼ばれた)。こちらは、朝から夕方まで6~8のプログラムがあり、観覧抽選応募権付き入場券を購入し、抽選に当せんした人のみが参加できるという仕組みで実施された。事前販売したステージ観覧抽選応募権付き入場券が2月末までに5万8,000枚を売ったことからみて、「AnimeJapan」はまず「体験するイベント」としてファンに受け入れられたと考えることができる。
RGBステージ以外でもスタッフやキャストのトークやミニライブなどを開く出展者があり、こちらも大勢のファンでにぎわいをみせた。
主催者企画としてはTVアニメ半世紀の歴史を振り返る「アニメ半世紀シアター」、アニメソング雑誌「リスアニ!」とコラボしたステージ「AnisongJapan」などがあり、こちらも大勢のファンが詰めかけた。「アニメ半世紀シアター」は昨年2013年が本格的TVアニメ開始から50年を数えたことを踏まえ、過去のTVアニメ作品の中からエポックメイクな作品を24作品上映した。作品ごとに熱心なファンが詰めかけ感動を新たにした。
またアニメの楽しさとして忘れていけないのはコスプレ。AJでは会場内外にコスプレエリアを用意。更衣室やクロークも設けられ、会場ではコスプレを楽しむファンも多数見られた。屋内のコスプレゾーンには、その作品の世界観を現した作品公式背景が用意され、コスプレイヤーだけでなく、記念写真を楽しむファンの姿が見られた。
アニメ業界のことを知る
「アニメ業界のことを知る」イベントの代表的な企画が2日間で14プログラムが組まれたビジネスセミナーだ。アニメ業界は今どのような課題に取り組んでいるのか、どのような人材を求めているのかなど多彩なテーマが用意された。製作・制作会社のプロデューサーなど第一線で活躍するパネラーが登壇し、アニメ業界とのビジネスを検討している企業・団体や業界志望者に向けて、さまざまなトークを行った。
入場者の関心も高く、いずれのプログラムも観客が詰めかけ、ブースの外から立ち見で様子をうかがう人も少なからずいた。
業界志望者に向けた企画という点では「アニメのお仕事相談窓口」も注目を集めた。これは制作会社、ビデオメーカー、出版社といった“アニメのお仕事”に関わっている企業の担当者がダイレクトに志望者のさまざまな疑問に答える、という企画。各社担当者は、「アニメ業界で働いてみたいけれどどうすればいいのかわからない?」など初歩の質問から仕事の具体的な内容まで、よろず相談窓口としてさまざまな疑問に具体的に応対した。こちらも待機の列は終日途切れることはなかった。
AnimeJapanでしかできないスペシャル企画
アニメ業界が全面的にかかわっているAnimeJapanでなければ絶対にできない特別な企画も注目を集めた。
企画発表時からその豪華な講師陣に話題が集まっていたのが「クリエイター体験講座」。第一線で活躍するクリエイターが、ワークショップ形式でそれぞれの専門を講義するというめったにない形式だけに、プロ志望者を含め広く関心をもたれていた、用意された6つ講座が扱うジャンルは企画、脚本、演出、作画、音響と多岐に及ぶ。
事前応募制の受講者に加え、立ち見で見学のみの観客も多く集まり、プロフェッショナルの技の秘密を知ろうと熱心に講義を見ていた。
豪華なスタッフの協力という点で見逃せなかったのがチャリティーオークション。スタッフやキャストのサインが入ったポスターやアフレコ台本、スタンディなどが出展された。63点のアイテムに、1400人以上が入札を行った。オークションの落札金の総計は約1400万円。落札金は東日本大震災の復興・各種支援を目的として寄付される。
このほか人気を集めたのがAnimeJapan限定コラボグッズを販売したオフィシャルショップ。AnimeJapanでしか買えないグッズということで、ショップの前には多くのファンが並んだ。商品の中でも特に人気を集めたのが「魔法少女まどか☆マギカ」× 「Rascal」コラボ描き下ろしラバーストラップセット。22日、23日ともに午前中のうちに売り切れが出るほどだったという。
ビジネス
AnimeJapanはビジネス見本市としての性格も併せ持っている。日本のアニメに関心を持つ海外バイヤーも多数来場した。AJはビジネスデーが設けられていなかったため、海外バイヤーはAJのにぎわいをダイレクトに体感することとなった。
バイヤーは、JETRO(日本貿易振興機構)が設けたマッチングスペースや、会場内の商談スペースで日本のアニメ関係者とさまざまなビジネスの話を行った。海外バイヤーは21カ国より331人が訪れたという。
そのほか、意外にもコンスタントに人だかりができていたのは、アトム、悟空らキャラクターの立像が置かれた記念撮影コーナー。親子連れだけでなく、海外からの来場者などもさまざまなキャラクターとの写真撮影を行っていた。
親子連れを対象としたイベントとしては、人気キャラクターが登場する「ファミリーパーク ふれあいステージ」で、キャラクターによるステージショーが行われ、キャラクターの着ぐるみと子供らが交流を楽しんだ。
また、会場をめぐる楽しみとして謎解きゲーム「失われた色を取り戻せ」が用意された。このゲームは会場内に設置された問題を解いてキーワードを手に入れると、怪盗Xが色を盗むために使った装置の破壊コードが手に入るという趣向。ファミリーコース、ボーイズコース、ガールズコースの3コースが用意され、入場者は会場を巡りながら謎解きに挑戦していた。
原稿執筆:藤津 亮太